日本小児アレルギー学会誌
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シンポジウム 8:移行支援医療と total allergist
アレルギーセンターが目指す,医師からのアレルギー疾患の移行支援
伊藤 靖典徳永 舞小池 由美
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2024 年 38 巻 1 号 p. 93-98

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抄録

小児期に発症するアレルギー疾患の多くは成人期に移行する.そのため,成人への移行支援として医療提供の整備と自立(自律)支援が必要である.患者は複数のアレルギー疾患を合併することが多いため,成人になったときに基本診療科が複数になること,また食物アレルギーにおいては成人領域で専門とする医師が少ないことから,トランスファー(転科)が困難な状況がある.そのため,自立(自律)支援では保護的な立場から,ヘルスリテラシーを獲得させた上で自己決定を尊重させる医療への移行が必要となる.特に食物アレルギーでは成分表示を理解し,緊急時のアドレナリン自己注射薬の使用等を自分で実施するために計画的なプログラムが必要である.

アレルギーセンターは地域・行政との連携だけではなく,院内においては複数の基本診療科や多職種との連携を担う役割がある.移行支援においては小児科と成人科とのスムーズな移行に資する情報共有,多職種による自立(自律)支援・福祉,就学/就労支援などに関わることが期待される.

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© 2024 日本小児アレルギー学会
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