日本小児アレルギー学会誌
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解説:免疫アレルギー疾患における分子標的薬
アバタセプト(T細胞選択的共刺激調節薬)
山﨑 晋
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2024 年 38 巻 5 号 p. 466-473

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抄録

アバタセプトは,ヒト細胞障害性Tリンパ球抗原-4の細胞外ドメインとヒトIgG1のFcドメインより構成された生物学的製剤で,CD28とCD80/86の共刺激を阻害することによりT細胞の活性化を抑制する.本邦では,既存治療で効果不十分な関節リウマチと若年性特発性関節炎に保険適用がある.この総説では,まず,T細胞の活性化と共刺激分子,アバタセプトの薬効機序を説明する.共刺激分子は,アバタセプトのみならず抗がん剤治療のターゲットでもあり,臨床医にとって理解すべき重要な点を述べた.次に,若年性特発性関節炎に対するアバタセプトの臨床成績,投与方法,安全性について概説する.アバタセプトはその有効性もさることながら,安全性が高い事が特徴の薬剤であることを提示した.最後に,他の自己免疫疾患に対するアバタセプトの報告についてまとめた.現在,私たち臨床医は様々な生物学的製剤を選択できるようになってきた.各製剤の薬効,副作用の他,今後検討すべき課題についても熟知したうえで,適切な使用を心掛けることが重要である.

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