日本小児アレルギー学会誌
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解説:免疫アレルギー疾患における分子標的薬
IBDに対する分子標的薬(TNF阻害薬を除く)
工藤 孝広
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ジャーナル 認証あり

2024 年 38 巻 5 号 p. 484-489

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抄録

炎症性腸疾患(IBD)とは寛解と再燃を繰り返す慢性の腸管炎症性疾患であり,潰瘍性大腸炎とクローン病に分類されることが多い.罹患者数は成人発症IBDとともに小児期発症IBDも近年増加している.小児IBDでは診断時や治療経過中,治療薬を選択する際にも成長障害を常に念頭に置く必要がある.IBDの主な治療方針は炎症抑制療法であり,その代表的な薬剤はステロイド薬であるが,その代替療法としてアザチオプリンなどの免疫調節薬が主流であった.2000年代から抗TNF-α抗体製剤を中心とした生物学的製剤が登場したことで治療指針が大きく変化した.現時点では本邦で小児IBDに使用できるのは抗TNF-α抗体製剤のみであるが,成人領域では他の多くの分子標的薬も保険適用となっている.抗TNF-α抗体製剤以外の分子標的薬としては,抗IL-12/23p40抗体製剤,抗IL-23p19抗体製剤,抗α4β7インテグリン抗体製剤,ヤヌスキナーゼ阻害薬などがある.本項では,IBDに適用のある分子標的薬のうち抗TNF-α抗体製剤以外について概説するが,それらの薬剤は小児IBDに対して保険適用外となるため使用には注意が必要である.

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