日本小児アレルギー学会誌
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測定方法の異なる呼吸機能検査結果と小児気管支喘息発作の関係
松本 居子白山 未央秋野 実咲坂巻 規益子太田 久朗小池 林太郎石川 尉子石垣 信男春名 英彦
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2002 年 16 巻 5 号 p. 493-500

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抄録

呼吸機能検査 (Flow-Volume カーブ) の測定を立位で行うか座位で行うかによって測定値に差違が生ずることはしばしば経験される. そこで我々は気管支喘息患児のF-Vカーブの測定において, 検査時の体位によって測定値に差があるかどうか, また発作のコントロールの指標としてどちらが優れているかを検討した. 当科アレルギー外来を受診している患児122名の気管支喘息患児に対し強制呼出によるF-Vカーブの測定を行った. まず, 外来で担当医立ち会いの下で立位により3回, 次に検査室で検査技師の下で3回測定し, それぞれの%FVC, FEV1.0%, %v50, %v25の値を比較検討した. F-Vカーブ測定において, 外来で使用している機種は立位で測定を行うことが通常であり, 一方検査室で使用している機種は座位で行うこととなっている. %v50と%v25では立位による測定の方が座位による測定より有意に高値であったが, %FVCとFEV1.0%ではそれぞれの体位により有意な差はなかった. 測定の2週間前後に発作のあった患児では%v50と%v25値は立位, 座位ともに発作のなかった患児と比較して有意に低値であった. しかし, 座位による測定値にはばらつきが多く, しかも発作のないグループにおいて低年齢ほど有意に低値であった. 従って, F-Vカーブを発作のコントロールの指標として用いる際, 特に低年齢においては立位で測定する方がより適当であると考えられた.

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