日本小児アレルギー学会誌
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保育施設における食物アレルギー児に対する食物除去の実態
富山県における調査結果
足立 陽子中林 玄一淵沢 竜也濱道 美紀岡部 美恵板沢 寿子足立 雄一村上 巧啓宮脇 利男
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2004 年 18 巻 1 号 p. 100-107

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抄録

わが国の乳幼児における食物アレルギーの頻度は約10%とされる. 一方, 女性の社会進出や核家族化などによって子供が乳幼児期から保育施設に預けられる傾向が強まり, その結果として保育施設で食物除去を行う機会が増加してきていると考えられる. その実態調査を目的に, 富山県内465保育施設にアンケートを依頼した. 有効回答の得られた325施設中, 229施設 (70.5%) で342名 (総園児数27668名中, 1.24%) に対して食物除去が実施されていた. 食物除去は「保護者からの依頼」と「保護者を通した医師の口頭指示」によることが多く, 診断書によるものは19.9%であった. 食物除去実施中の除去食物摂取は, 誤食が全体の30.0%の児で認められ, 3.3%は保護者からの指示で投与された. そのうちの10.1%に全身症状を認めたが, 誤食時の指示を受けていない者が71.3%であった. 以上より, 保育施設では食物除去を日常的に行っているが, 誤食も稀ではないことが明らかになった. 以上より, 食物アレルギーの診断, 食物除去の実施, 誤食時の対処についてのガイドラインが必要と考える.

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