日本小児アレルギー学会誌
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認可保育園におけるアレルギー疾患の実態調査
食物アレルギーを中心として
佐藤 弘津田 恵次郎
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2005 年 19 巻 2 号 p. 208-215

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抄録
保育園におけるアレルギー疾患の実態把握を目的として, 北九州市内全認可保育園在籍児の保護者15339人と認可保育園160施設に対して食物アレルギーを中心にアンケート調査を行った. アンケート回収率はそれぞれ99.2%, 100%であった. 保護者用アンケートではアレルギー疾患有症率26.2%, 食物アレルギー有症率5.3%であった. 家庭で食事制限をしている児童は68.7%であるが, 保育園でも同様に制限している児童は食事制限児童の68.6%で家庭と保育園で食事制限をしている割合のギャップがみられた. 食事制限の指示者は78.3%が医師によるものであるが, 具体的な指導者は医師73.7%であり, 医師以外から指導を受けているものがかなりみられた. 保育園用アンケートでは, 何らかのアレルギー疾患用薬剤を預かっている施設が半数以上に上った. 園内で食物アレルギー症状を認めた施設は35.6%で, アナフィラキシーショックなどの重篤な症状はないものの, 対応に苦慮したと考えている施設が20%以上に認められた. 今後は保護者に対する適切なアレルギー指導や良質な情報の啓蒙活動, さらに施設に対する教育など必要と考えられた.
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