抄録
Metered-dose inhaler (MDI) へのスペーサー (SP) の併用効果には賛否両論がある. 今回, 気管支喘息患者16名を対象として disodium cromoglycate (DSCG) の吸入におけるSPの併用効果を, MDIから直接2噴霧 (2mg) 吸入する単独法, SPを併用し1噴霧1吸入を2回反復する従来法と1度に2噴霧して1吸入する簡略法の3方法について, 吸入後のDSCG血漿中濃度を用いて検討した. 吸入5分後, 30分後のDSCG血漿中濃度 (C5, C30) の平均値と平均AUC0-30は従来法で最も高く, 特に3方法全てを施行し得た7症例では, 従来法の平均AUC0-30は単独法より有意に高かった (p<0.05). 簡略法は単独法と有意差は無く, 有意義とは言えなかった. 我々は既にC5が4ng/ml以上で喘息発作に対するDSCGの予防効果が高いと報告したが, 単独法でC5が4ng/ml未満であった症例の約半数がSPの併用で4ng/ml以上となった. SPの併用はDSCGの肺内沈着量を増し, かつ, 発作予防効果を高める可能性があると考えられた.