日本小児アレルギー学会誌
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未熟児のIgEと食物抗原に対する特異的IgGの動き
川北 章神田 康司後藤 玄夫秋本 憲一飯倉 洋治
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1988 年 2 巻 2 号 p. 62-68

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抄録

出生在胎25~36週の未熟児42人を対象とし, Total IgEおよび牛乳と卵白に対する特異的IgGを測定した.
IgEは生直後は低値であったが, 生後1ヶ月と満期相当時は有意に増加した. IgEの値が1IU/ml以上のものが出現する時期は修正在胎で33週以降であった. 満期相当時に牛乳特異的IgGが高値を示したものではIgEが1IU/ml以上のものが多い傾向にあった.
牛乳特異的IgGは生直後に比べ生後1ヶ月と満期相当時には有意に増加した. 牛乳特異的IgGが20U以上のものが出現したのは生後1ヶ月以降, かつ人工乳での哺乳回数が90回以上, かつ修正在胎で36週以降であった. また, アレルギーの家族歴があるものに満期相当時の牛乳特異的IgGが20Uを越えるものが多く, 牛乳特異的IgGの産生に遺伝的素因の関与の可能性が考えられた.
卵白特異的IgGは生後日数と共に減少した.

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