日本小児アレルギー学会誌
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心外膜炎を発症した若年性関節リウマチに対するパルス療法
国富 泰二池田 政憲小谷 信行濃野 信
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1989 年 3 巻 1 号 p. 18-24

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抄録

若年性関節リウマチ (JRA) に心外膜炎を合併し, 経口的な大量ステロイド剤の投与では充分な治療効果を得ることが困難と考えられた2症例にパルス療法を試みた.
症例1は, 6歳11カ月の男児, 3回目の再発のために入院した. Prednisolone 2mg/kg/日を経口投与したが効果がなく, 入院11日目に心外膜炎を発症した.
症例2は, 14歳11カ月の女児. 14日間続く発熱とリウマトイド疹, 筋肉痛, 心外膜炎を発症して入院した.
いずれの症例も心エコーで多量の心嚢液の貯留がみられた. 心タンポナーデへの進展が危惧され心嚢穿刺も検討された. 心外膜炎および急性期の全身的治療を目的として, 1週間に methylprednisolone 30mg/kgを3日間連続静注するパルス療法を3週間施行した。パルス療法開始当日かち解熱した. 心嚢液は3週間の経過で消失し, 全体として有効であった. 軽度の満月様顔貌以外には副作用は認められなかった.
経口的なステロイド大量療法が無効な症例, 心機能障害が出現する危険が大きい症例にはパルス療法の適応があると考えられた.

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