日本小児アレルギー学会誌
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気管支喘息患児末梢血単核細胞からの Interleukin 1 (IL 1) 産生について
ダニ抗原, ウシ胎児血清, リポ多糖体添加の効果
松井 猛彦野間 剛馬場 実矢田 純一
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1990 年 4 巻 1 号 p. 63-66

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抄録
気管支喘息小児と健康人の単核細胞からの Interleukin 1 (IL 1) 産生についての検討を行った. 単核細泡をAB型血清添加培地を用いて培養した場合, その培養上清にはIL 1活性は認められなかったが胎児牛血清 (fetal calf serum: FCS) 添加培地を用いた場合IL 1活性の増加が認められ, 患者では健康人と比較してその活性は亢進していた. 患者ではFCS中の抗原に反応するT細胞が健康人よりも多いためと考えられた. ダニ抗原物質 (Dermatofagoides farinae: Df) あるいは lipopolysaccharide (LPS) で刺激した場合, 培養にAB型血清使用時でもその上清中にIL 1活性が認められるようになり, FCS使用時にはさらに高いIL 1活性がみられた. DfとLPSの効果は患者と健康人の間で差を認められなかったので, Df, LPSの作用は抗原としてより非特異的刺激物質としての作用と考えられた.
ウシ血清やDfが単核細胞からIL 1の産生を誘導することは, アレルゲンとされている抗原がその機序によっても炎症反応をもたらす可能性を示唆している.
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