抄録
2010年7月17日の改正臓器移植法施行により, それまで15歳未満の臓器提供が禁じられ, 年に10例程度しか成人心臓移植が行われなかった状況から, 環境は一変し, それまで閉ざされていた国内における幼小児の心臓移植の道が開かれた. しかしながら, 現実では国内における15歳未満の臓器提供者からの小児心臓移植例は, 2011年12月時点で, 2011年4月に10代後半の小児行われた1例のみである. 成人心臓移植の方は着実に例数を積み重ねているのに対し, 小児心臓移植数が延びないのはなぜだろうか. 本稿では, わが国における小児心臓移植定着に向けての問題点と, 将来の小児心臓移植定着に備えて, 成人とは異なる移植後管理について述べたい.