日本小児循環器学会雑誌
Online ISSN : 2187-2988
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最新号
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巻頭言
Reviews
  • 澤田 唯, 仁尾 かおり
    2026 年42 巻1 号 p. 3-12
    発行日: 2026/02/28
    公開日: 2026/03/17
    ジャーナル フリー

    目的:先天性心疾患児をはじめて自宅に迎える親の体験を文献から抽出し明らかにすることである.

    方法:メタエスノグラフィーを用い質的研究結果を統合した.

    結果:PubMed 237件,医学中央雑誌236件が抽出され,最終的に国内外文献21件を対象とした.統合した結果から,【先天性心疾患のわが子の命を背負う負担があった】【退院後のサポート体制が不十分と感じた】【退院に関して医療者のサポートを感じた】【退院までの準備に不足があった】【親役割を見失う】【退院後に孤立を感じた】【子どもと自分の生活の意味を考える】【移行期をわが子と過ごすことで得た経験があった】【退院後の生活を上手く送る】の9つの側面が明らかになった.

    結論:児の成長発達,療養生活がイメージできるよう働きかけること,退院準備支援について整えることが今後の小児循環器医療の課題であると考える.

Editorial Comment
症例報告
  • 浅田 大, 石井 陽一郎, 森 雅啓, 松尾 久実代, 青木 寿明
    2026 年42 巻1 号 p. 15-20
    発行日: 2026/02/28
    公開日: 2026/03/17
    ジャーナル フリー

    11歳女児.3歳時に化膿性連鎖球菌(Group A Streptococci; GAS)による細菌性心膜炎に罹患,心タンポナーデに対し緊急ドレナージが施行された.術後経過は良好であったが,肺間質陰影の増強が改善せず,8歳時より徐々に易疲労感を認めるようになった.ドレナージ術後の収縮性心膜炎が鑑別に挙がったが,心臓カテーテル検査により否定的であった.その後肋骨の突出が目立つようになり,造影CT検査にて左第1・2肋骨の骨皮質欠損・骨溶解像,椎体の骨折,脾臓に多数の嚢胞状造影不良域を認め,これら特徴的な画像所見と臨床経過とを合わせ,9歳時に希少疾患であるリンパ管腫症/ゴーハム病の診断に至った.現在シロリムス内服治療を行い患児は元気に過ごしている.心タンポナーデは小児循環器領域で時に遭遇する病態であるが,その鑑別にこのような希少疾患があることを知っておくことが重要である.

  • 金子 知広, 馬場 恵史, 小澤 淳一, 橋尻 明日実, 渡邉 マヤ, 白石 修一, 鈴木 博
    2026 年42 巻1 号 p. 21-26
    発行日: 2026/02/28
    公開日: 2026/03/17
    ジャーナル フリー

    先天性中枢性低換気症候群(congenital central hypoventilation syndrome: CCHS)はPHOX2B遺伝子の病的バリアントを原因とし,呼吸中枢の異常で低換気を生じる.自律神経の異常による徐脈性不整脈も合併することがあり,突然死の危険がある.その予防にはペースメーカ植え込み術(pacemaker implantation: PMI)が有効だが,本邦でのPMIの報告はほとんどなく,PMIの適応も定まっていない.症例は5歳女児.遺伝学的検査でPHOX2B遺伝子に20/27 polyalanine repeat expansion mutationを認め,CCHSと診断した.在宅人工呼吸器を導入した.2歳時に呼吸器感染で入院中,食事中に3.6秒,4.2秒のポーズが連続し,一過性意識消失をし,嚥下性失神と診断した.4歳時にも自宅で一過性意識消失をした.CCHSによる反復性の失神と考え,PMIの適応と判断し,5歳時にPMI(VVI)を施行した.以降は失神なく経過している.CCHSの自律神経の異常による徐脈性不整脈は進行性であり,徐脈性不整脈と症状の関連が確認された症例にはPMIを行うべきである.無症候の徐脈性不整脈例や症状と徐脈の関連が確認できない症例のPMI適応には議論の余地がある.適切なPMI適応基準の確立には,本邦のCCHSの徐脈性不整脈の現状把握が必須である.

  • 畑岡 努, 佐々木 祐登, 松井 謙太, 稲田 雅弘, 松永 慶廉, 浅見 雄司, 中島 公子, 池田 健太郎, 下山 伸哉, 岡村 達
    2026 年42 巻1 号 p. 27-31
    発行日: 2026/02/28
    公開日: 2026/03/17
    ジャーナル フリー

    バルサルバ洞瘤は稀な疾患であり,無症状で偶発的に発見されることが多い.大きさによって破裂のリスクがあるため早期の外科的介入が推奨されている.本症例は,大動脈縮窄症術後,心室中隔欠損症自然閉鎖後の経過観察中に右バルサルバ洞の拡大を認めた.無症状であったものの,瘤径拡大が進行したため手術適応と判断した.大動脈二尖弁を有していたが,大動脈弁狭窄や大動脈弁閉鎖不全は軽度であったため,大動脈弁を温存した右バルサルバ洞修復術を施行した.手術では,瘤壁の全切除により心室中隔欠損が再開通するリスクがあったため,瘤壁の一部を温存し,その内側にトリミングした人工血管パッチを縫着しバルサルバ洞の修復を行った.術後は合併症なく経過し,術後10日目に退院となった.バルサルバ洞瘤に対しては,大動脈基部や弁の性状および形態,本症例のような基礎心疾患の病態に基づいて術式の選択をすることが重要である.

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