日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
一時的にヘパリン療法が奏効したRastelli術後蛋白漏出性腸症の一例
西口 俊裕
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2012 年 28 巻 4 号 p. 233-237

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抄録
先天性心疾患(congential heart disease:CHD)に合併した蛋白漏出性腸症(protein-losing enteropathy:PLE)は予後不良な疾患で, 病態についても不明な点が多く, 治療法もいまだ確立されたものはない. 著者らは, 完全型房室中隔欠損症, 両大血管右室起始症, 肺動脈閉鎖症に対するRastelli術後PLEの再燃時にヘパリン療法を施行し, 奏効した症例を経験した. しかし, 一旦中止後3カ月目に再々燃し, ステロイド療法,(ヘパリン+ステロイド少量)併用療法, ヘパリン療法を施行したが, 効果は得られず死の転帰をとった. ヘパリン療法の問題点は, 完全寛解率は低く, 症状改善を維持するためには頻回投与が必要で, 皮下注投与量も多く, 患者負担が大きいことであった. CHD術後PLEに対するヘパリン療法には限界があった.
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© 2012 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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