抄録
背景:ASOによる経皮的心房中隔欠損閉鎖術は, 2005年3月以降わが国で承認されて以来2009年7月までに, 1,000例以上の症例に対し試みられている一方で, 2例のerosionや6例の脱落の有害事象が発生している.
方法:2006年8月から2009年7月までASOによる経皮的心房中隔欠損閉鎖術を試みた117例と外科手術実施55例を対象とし経皮的心房中隔欠損閉鎖術の有効性や安全性の後方視的検討を行った.
結果:年齢は, ASOによる経皮的心房中隔欠損閉鎖術群, 外科手術群でそれぞれ9±4歳, 6±3歳, 体重は29±15 kg, 19±9 kg, 心房中隔欠損ASDの欠損孔径はsizing balloonによる計測値15±4 mm, 直視下実測値18±4 mm. 平均入院日数は5日, 6日. 入院費は1.4±0.4×106円, 1.6±0.3×106円であった. ASOを用いた経皮的心房中隔欠損閉鎖術群に2 mm以上の遺残短絡症例やerosionの発生や閉鎖栓の脱落など重篤な合併症は認めなかった.
結論:二次孔欠損型心房中隔欠損例の2/3の症例に, ASOを用いた経皮的心房中隔欠損閉鎖術が可能で, 本治療は低侵襲, かつ安全である. 外科手術と比較として遜色ない成績が得られた.