抄録
はじめに:経皮的心外導管穿刺を用いアブレーションを行った症例の成績,手技上の問題点を報告する.
対象と方法:対象は2012年8月〜2013年9月に行った4例.患者背景,心外導管穿刺,アブレーション治療の問題点,治療成績について検討した.
結果:アブレーション時の年齢は13〜19歳,診断は無脾症・単心室が3例,僧帽弁閉鎖・両大血管右室起始症が1例,治療した不整脈は潜在性房室副伝導路に伴う房室リエントリー性頻拍,重複房室結節が関与する頻拍と潜在性房室副伝導路に伴う房室リエントリー性頻拍,心房内回帰性頻拍,接合部頻拍であった.全例治療は成功した.Fontan手術から導管穿刺までの期間は3〜12年であった.心外導管の屈曲の角度が小さい症例,リング付人工血管の症例は穿刺に難渋した.またロングシースの外筒の挿入には工夫が必要であり,心房内回帰性頻拍,接合部頻拍など難易度が高い不整脈では治療に難渋した.
結語:心外導管を用いたFontan手術後に,経皮的心外導管穿刺にてアブレーションが成功した4例を経験した.今後増加するFontan術後の不整脈に対して新しい治療法となり得ると考えられる.今後は安全性の確立,手技上の問題点の対処法について明らかにしていく.