日本小児循環器学会雑誌
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症例報告
学校血圧検診を契機に発見されたMid-aortic Syndrome,腎血管性高血圧の1例
久保 達哉藤田 修平畑崎 喜芳
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2014 年 30 巻 6 号 p. 666-670

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抄録
症例は生来健康な13歳女児で,学校検診で異常な血圧上昇を指摘された.血圧の上下肢差を認め,腹部血管雑音を聴取したことから,胸腹部大動脈の異常が疑われた.造影CTでは,腹部大動脈が低形成で,左右の腎動脈の低形成および右腎の萎縮を認めた.また下行大動脈の腎動脈分岐より遠位部で狭窄を認め,カテーテル検査では同部位で40 mmHgの圧較差を認め,血圧の上下肢差の原因と考えた.採血ではカプトプリル負荷により血漿レニン活性の著明な上昇を認めた.以上よりmid-aotric syndrome(MAS),腎血管性高血圧(RVH)と診断した.またカプトプリル負荷腎レノグラムでは右腎の著しい機能低下を認めた.降圧薬の内服を開始したが,有効な降圧は得られず,腎血管の形態からはカテーテル治療,外科的治療は困難と考え,無機能である右腎の摘出を行った.内服薬の増量も行い,現在収縮期血圧は150〜160 mmHgと治療前と比較し低下している.また二次性高血圧は,著明な高血圧を呈するにもかかわらず,自覚症状がない症例が多く,早期介入には血圧検診が極めて重要と考えられる.
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© 2013 特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
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