2025 年 41 巻 1 号 p. 20-27
循環器診療には様々な画像診断が用いられるが,そのなかでリアルタイムに心臓を観察できるのは心エコー検査だけである.救急の現場から診断,治療適応と効果の判定,さらに周術期管理など,どのタイミングでも心エコー検査なくては診療が成立しない.近年では形態診断のみならず機能解析の方法が確立され,その重要度が増している.一方で,疾患や血行動態そのものと心エコー検査の特性を理解していなければ,その有用性を活用できないばかりか治療方針を誤誘導することもある.本稿では,心エコー検査の基礎として超音波の特性を知り機器の適切な設定をすること,基本断面と基本計測を中心とした検査手技を身につけること,成長する小児にとって重要な正常値の定義を確認すること,先天性心疾患と血行動態の知識を身につけそれぞれに応じた検査を行うことについて,日常臨床の視点から概説する.