小児歯科学雑誌
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原著
ワイン圧搾粕(パミス)抽出物のヒトにおける齲蝕予防効果
小西 俊成嶋津 京子大原 紫間 和彦光畑 智恵子香西 克之
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2017 年 55 巻 4 号 p. 427-434

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抄録

ワイン製造時に発生する圧搾粕(パミス)に含まれるオレアノール酸は,in vitro 試験にて抗齲蝕性を示す。今回,我々はパミス抽出物をオレアノール酸として12 mg 含むタブレット(1 粒1g)を作製し,対照品としてパミス抽出物を含まないタブレット(プラセボ)を用いて,二重盲検クロスオーバー法にてヒトにおける齲蝕予防効果を検証した。 被験者(n=58,平均年齢23.4 歳)はタブレット3 粒を就寝前の歯みがき後に5 日間の試験期間のうち最初の4 日間連続して摂取し,さらに試験開始日(1 日目)および終了日(5 日目)の昼食2 時間後に唾液を採取した。採取した唾液を用いて口腔内におけるStreptococcus mutans(以下S. mutans)の増殖を調べ,各タブレット摂取におけるS. mutans 数の変化率を比較した。その結果,プラセボ群と比較してパミス抽出物摂取群ではS. mutans の増殖が有意に抑制されていた(P<0.05)。 パミス抽出物を摂取することで齲蝕原性菌とされるS. mutans の増殖が抑制されたことから,パミス抽出物はヒトにおいて齲蝕予防効果を持つことが示唆された。

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© 2017 日本小児歯科学会
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