抄録
本症例は歯の形態異常,歯並びの異常,および歯牙欠損を主訴として,本学小児歯科を訪れた患者であるが,今までに述べたような薗離虫の処置,矯正処置,および補綴処置を施し,咬合機能および審美性の回復をはかり得たものである。今後,充分な経過観察をおこない,適当な年令に達した時点で,永久的見地に立った補綴処置を施す必要があると考えている。このように,残存歯牙の形態ならびに歯出位置を調整した上で可撤義歯を装着することにより,発育途上にある咬合機能を回復するとともに,将来,永久処置を施す場合の基礎をつくり上げることが可能であると考えられる。