小児歯科学雑誌
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1歳6ヵ月児歯科健診における生活習慣と齲蝕罹患との関連について
同一地区における7年前の調査との比較
石川 雅章渡辺 好木村 恵子菊池 純子
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1984 年 22 巻 4 号 p. 846-853

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抄録

低年齢幼児の齲蝕減少傾向と生活習慣の変化との関連を知る目的で,川崎市中原区において昭和57年度1歳6ヵ月児歯科健診の際に調査を行い,同一地区で昭和50年度に行った調査結果とを比較し,以下の知見を得た.
1.齲蝕罹患状態はこの7年間に,齲蝕罹患者率で約7%,1人平均齲歯数で約0.3本減少した.なかでも上顎前歯唇側面の齲蝕はほぼ半減した.
2.今回のアンケート調査では齲蝕罹患者群と健全者群との間に,断乳時期および就寝時哺乳の習慣に有意差がみられたが,甘味間食や甘味飲料の摂取者率ではみられなかった.
3.就寝時哺乳者率は前回と今回の間で齲蝕罹患者群において20%前後減少したが,健全者群では両調査間でその割合はほとんど変化しなかった.
4.甘味間食摂取者率は齲蝕罹患者群で大凡半減し,変化のほぼなかった健全者群と同程度となった.
5.両調査から上顎前歯唇側面の齲蝕減少に最も寄与している要因は,1歳以降の哺乳習慣の継続,特に就寝時哺乳の有無で,次いで甘味間食摂取習慣と示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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