小児歯科学雑誌
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歯根未完成永久歯の電気歯髄診断に関する研究
大多和 由美藤居 弘通久保田 一見町田 幸雄
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1986 年 24 巻 4 号 p. 725-732

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抄録

健全歯根未完成永久歯を被検対象として,歯根の形成状態と電気歯髄診断器の刺激に対する反応との関係について検討した。被検対象は,86名の小児の健全な上顎永久中切歯169本である。被検歯の歯根の形成程度は,規格撮影を行ったX線写真により未完成なものからI,II,IIIの3段階に分類した。測定に使用した電気歯髄診断器は“Pulp Tester”と“Dentotest TB-08”の2機種であり,電導性糊剤としては歯磨剤と電極糊の2種を用いた。
その結果,電気歯髄診断器の最大出力に対しても反応しなかったものは“Dentotest”では電導性糊剤として歯磨剤を用いた場合,歯根形成I群では58例中13例(22.4%),歯根形成II群では51例中2例(3.9%)であり,電極糊を用いた場合,歯根形成I群では58例中7例(12.1%),歯根形成II群では51例中1例(2.0%)にみられた。歯根形成III群では両糊剤とも60例全ての歯牙において反応が認められた。
“Pulp Tester”では歯根形成I群で最大出力において歯磨剤の場合58例中5例(8.6%),電極糊の場合58例中2例(3.4%)が反応しなかった。II群,III群においては全ての歯牙に反応が認められた。“Pulp Tester”,“Dentotest”の両者ともに歯根の成長発育に伴い低い値で反応する傾向を示した。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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