抄録
イソマルトースを主成分とするイソマルトオリゴ糖(IMOS)の齲蝕誘発能の有無をin vitroの実験系,およびSPFラットを用いた実験齲蝕系で調べた。その結果,IMOSはStreptococcus mutans MT8148 株および Streptococcus sobrinus6715株のいずれによっても利用され, 強い酸を産生した。I M O S は上記両菌株より得られた酵素グルコシルトランスフェラーゼ(GTase)によるスクロースからのグルカン産生を抑制した。さらにI M O S は両菌株のスクロース依存性の平滑面付着を阻害した。しかし, S . m u t a n sMT8148R株およびS.sobrinus6715株を感染させたSprague-Dawleyラットの実験系においては,IMOS単独ではほとんど齲蝕誘発能を示さなかったが,スクロースにより誘発される齲蝕の抑制作用は認められなかった。