小児歯科学雑誌
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1歳6カ月および3歳児歯科健診の結果にもとづく齲蝕罹患傾向の予測に関する試み
下飛田 道子二木 寿子緒方 哲朗兼行 菜穂子山崎 桂子中田 稔
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1991 年 29 巻 4 号 p. 707-719

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抄録

福岡県大野城市において1歳6カ月児歯科健診を受けた1歳6カ月児361名(男児:193名,女児168名)ならびにその母親を対象として,齲蝕の有無に関与する要因の分析を行った.
幼児に対しては一般健康診査,口腔診査に加え,齲蝕活動性試験としてカリオスタット,MSBBテスト, RDテストの3種を実施した.母親に対しては同種の齲蝕活動性試験に加えて, 保育環境, 歯口清掃習慣, 母親の歯科的意識の水準などに関するアンケート調査を行った.これらの調査項目に対して林の数量化理論第II類を用いて幼児の齲蝕の有無を外的基準とする多変量解析を行った.その結果,1歳6カ月における齲蝕罹患群と健全群との判別には,「幼児のカリオスタットpH値」「MSBB結果」, 「歯磨き習慣」に関する要因が強く関わっていた(相関比0.335).
さらに齲蝕罹患傾向の予測を行うことを目的として,これらの幼児のうち3歳児歯科健診を受診し経時的な資料が得られた3 歳1カ月の幼児190名(男児103名,女児:87名)の口腔診査結果を用い,以下のような分析を行った.すなわち,林の数量化理論第I類を用いて,幼児の3歳時の齲蝕罹患歯面率を目的変数とし,1歳6カ月時の調査項目の中から,齲蝕との関わりが比較的強いと思われる34項目を説明変数とする分析である.その結果,3歳児の齲蝕罹患状況に関わりの深い1歳6カ月時での調査項目は, 「幼児のMSBB結果」,「母親のカリオスタットpH値」などであった(重相関係数0.601).

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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