小児歯科学雑誌
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フロッシングの間隔が隣接面プラークの齲蝕活動性に及ぼす影響について
立川 義博黄 郁杏野中 和明立野 麗子國武 哲治中田 稔
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1991 年 29 巻 4 号 p. 738-742

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抄録

隣接面齲蝕予防に有効なフロッシング間隔についての研究を行った.調査対象は,九州大学歯学部付属病院小児歯科外来にて定期診査を継続している患児の中から,フロッシング習慣がなく,健全な隣接面をもつ小児25名の77隣接面部を選択した.初回にベースラインのプラークを採取し,次にフロッシング後の来院間隔をかえて,同一隣接面部からプラークを採取した.これらをカリオスタット試験液中で培養し,24時間判定値によってフロッシング間隔の影響を比較したところ,以下の結果を得た.
1)隣接面の齲蝕活動性は,フロッシング間隔が2週から1週へと短くなるにしたがい有意に低下した.しかし,1週以内の場合には有意差はなかった.
2)ベースライン値が1.5以下の場合には,フロッシング後1週のカリオスタット値は1.0末満に低下したが,ベースライン値が2.0以上の場合では,1.0以上であった.
以上の結果から,フロッシング間隔の目安は次のようになる.隣接面のベースライン値が1.5以下の場合には, 最低週1 回のフロッシングが必要である.しかし, ベースライン値が2.0以上の場合には,週1回のフロッシングだけでは不十分と思われた.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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