小児歯科学雑誌
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小児における側頭筋および咬筋活動の総筋活動量に占める割合
美島 達平田村 康夫宋 政文吉田 定宏
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キーワード: 咀嚼筋, 総筋活動量, 小児
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1991 年 29 巻 4 号 p. 755-766

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抄録

本実験は成長発達にともなう咀嚼筋活動の変化を総筋活動量に対する側頭筋,咬筋筋活動の割合で検討したものである.
乳歯列期小児10名,混合歯列期小児10名,永久歯列期成人10名を用い,各被検者にカマボコ,ガム及びスルメの3食品を咀嚼させ,その時の咀嚼筋筋活動を観察した.計測は作業側と平衡側に分け,4筋(作業側側頭筋,咬筋;TW,MW:平衡側側頭筋,咬筋;TB,MB)について行い,さらに総筋活動量(TAM)に占める4筋の筋活動量の割合(%)について検討した.その結果,
1)作業側,平衡側及び側頭筋,咬筋の4筋の各筋活動量で検討すると,有意な筋差が認められた(p<0.01).
2)各筋の歯列群差はMWについて認められ,MWの筋活動量が歯列の成長に伴い増大していた(p<0.01).
3)TAMに対する各筋筋活動量の占める割合で検討した場合,3食品間で有意差は認められなかった.
4)乳歯列期は活動の順で検討すると,1型(TW-TB)が40%と最も多く,混合歯列,永久歯列期では3型(MW-TW)を示すものが50%,70%と最も多くみられた.
5)歯列群で検討した場合,成人はMWの占める割合は有意に増大し,逆にTBの占める割合が有意に低下していた(p<0.01).
以上の結果より, 乳歯列期から永久歯列期にかけて咀嚼筋の機能的な使い分けが行われ,これには歯列の成長にともなう解剖学的な筋の成長と共に機能的成熟も関係していることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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