小児歯科学雑誌
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唇顎口蓋裂児の齲蝕罹患に関する実態調査
斗ケ澤 真純斉藤 徹猪狩 和子山田 恵子真柳 秀昭神山 紀久男
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1995 年 33 巻 5 号 p. 995-1008

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抄録
著者らは,唇顎口蓋裂児の最近の齲蝕罹患状況およびその特徴を知る目的で,齲蝕罹患に関する実態調査を行った.対象は0~8歳までの唇顎口蓋裂児335名である.当科における過去の報告(S.52/S.61)および仙台市の保育園児と比較し,以下の所見を得た.
1)全体として過去の報告よりも乳歯齲蝕の減少,遅発傾向を示した.しかし,依然として増齢に伴う多発性が認められた.
2)口蓋裂では他の裂型よりも乳歯齲蝕罹患が高く,しかも低年齢から認められた.口唇口蓋裂の上顎前歯部において,裂側の方が健側よりも有意に高い罹患を示した.
3)乳歯齲蝕罹患の高い部位は,保育園児で第2乳臼歯咬合面であった.一方,唇顎口蓋裂児では下顎前歯部および上顎口蓋面であり,形態的,機能的な要因が強いと思われた.
4)乳歯齲蝕の増加のパターンは,保育園児では臼歯部が主体であった.唇顎口蓋裂児は増齢に伴って前歯→ 臼歯→ 犬歯と増加する部位が変化した.
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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