小児歯科学雑誌
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口唇口蓋裂児の早期療育に関する研究
第2報出生前告知に関する産科医へのアンケート調査と告知例の検討
武田 康男竹辺 千恵美野中 歩藤村 良子平野 洋子尾上 敏一下川 浩
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1996 年 34 巻 5 号 p. 1089-1098

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抄録

口唇口蓋裂児と親の支援に関する療育チームと産科医との連携を再考することを目的に,福岡,山口,大分,佐賀4県の産科医にアンケート調査を行った。同時に当センターを受診した症例から両親の出生前告知に関する評価を分析した。その結果以下の結論が得られた。1.215人(83.7%)の産科医が口唇口蓋裂児の分娩を経験していた。2.分娩経験のある産科医のうちHotz床を知っている82人,Hotz床を使用したことがある17人であった。3.出生前の超音波断層法診断によって産科医の70人(27.2%)が口唇口蓋裂の存在を確認している。診断を行った最も早い週齢は在胎18週であった。4.診断後,〈 出生前に告知〉40人,〈 出生後に告知〉68人,〈 ケースバイケース〉など15人であった。また,出生前告知の40例のうち,〈 診断確定時点に告知〉28人,〈 出生直前に告知〉6人であった。5.告知時期の判断に関与する要因は,母親の性格,父親の包容性,上の児の子育てに関する両親の協力度の順で多かった。6.当センター症例中,12例が出生前診断と告知を受けた。現在,〈 出生後の対応についての説明があれば出生前告知が良い〉と答えた両親が最も多く12人,〈 いかなる条件のもとでも出生前に聞いた方が良い〉が4人で,母親7人中3人は無条件に出生前告知を選んだ。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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