小児歯科学雑誌
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幼若下顎中切歯唇面におけるエナメル質表層フッ素濃度
第2報萌出直後のフッ素濃度
松本 大輔河野 英司広瀬 弥奈五十嵐 清治市田 篤郎中垣 晴男
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1996 年 34 巻 5 号 p. 1164-1170

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抄録
幼若永久歯の萌出後の成熟にともなうエナメル質表層フッ素濃度の経時的変化を明確にするために,萌出直後の下顎中切歯6歯を用い,唇面のCa/P(重量比),酸溶解性,および一定の深さ(1.0,3.0,5.0,10.0,20.0μm)におけるフッ素濃度を測定した。また,成熟を終えた歯周病により抜歯された披去歯の値とフッ素濃度を比較検討した。
1)Ca/Pは一般にいわれている重量比平均2.08という値に比較し,萌出直後の(幼若)下顎中切歯の値は4層の平均で1.96と低い値であった。
2)酸溶解性についてはフッ素濃度の高い表層で低い値を示し,エナメル質表層フッ素濃度と酸溶解性との間には負の相関関係がみられた。
3)萌出直後の(幼若)下顎中切歯(唇面)のエナメル質においてもフッ素濃度は表層で高く,内層ほど低くなる濃度勾配が認められた。
4)充分成熟した抜去歯とフッ素濃度を比較したところ,全ての深さにおいて半萌出歯の値は抜去歯の値の約1/2倍の低い値であり,3μmより深層では,その差は有意であった。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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