抄録
小児歯科臨床において,乳歯癒合歯は高い頻度で認めることができる。しかし,永久歯癒合歯における頻度は乳歯に比べ低率である。今回,著者らは12歳1か月,男児の永久歯癒合歯の中でも比較的稀な上顎前歯部(右側中・側切歯)の癒合歯を認めた1例を経験し,歯科的検討および文献的考察を行った。
1.問診より乳歯列時の異常所見は認められなかった。
2.〓〓〓歯_の冠近遠心幅径を分割計測した結果1では-3 S.D.より小さい値を示したが,2は平均値内であった。
3.〓〓〓よおび5を除く,上顎の歯牙の歯冠近遠心幅径は,平均値内であった。
4.頭部エックス線規格写真分析より上顎骨および下顎骨の大きさはほぼ平均値内であったが下顎骨の後方回転が認められた。