小児歯科学雑誌
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明海大学附属病院小児歯科外来における患者の実態調査
-過去5年間の初診患者の動態について-
吉村 譲石野 愛子清水 良昭佐藤 直芳時田 幸子盛島 美智子辻川 裕久逢坂 亘彦渡部 茂
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1997 年 35 巻 5 号 p. 901-906

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抄録

疾病構造の変化,少子化が進む中,歯科大学附属病院の地域での役割も以前とは違った様相を示してきている。今回著者らは,平成4年1月から平成8年12月までの過去5年間に,明海大学歯学部附属病院小児歯科外来を訪れた初診患者の動態について調査し,埼玉県下の大学附属病院としての現状について考察を行った。
1)初診患者の年間来院数は,300人前後で年次推移は,ほぼ横這い状態であった。
2)初診時年齢の年次推移は,3歳~5歳の患者が約44%,2歳以下の患者が約16%を占め過去5年間ほとんど変化はなかった。
3)主訴の年次推移は,齲蝕・痛みが減少し,歯列・咬合,精査・予防が増加する傾向にあった。
4)初診患者の通院距離は5km範囲からの患者が,全体の52%を占めた。
5)一人平均DMF歯数の年次推移より,齲蝕の減少傾向が見られた。
6)他医療機関よりの紹介患者は,全初診患者の26%であった。
7)心身障害児は,総計69人で全初診患者の4%であった。
以上のことから,本学小児歯科は県民の高いニーズに応えるため,より高度な歯科医療の提供に努めねばならないことを認識させられた。また,地域歯科医療にさらなる貢献をするためには,個々の患者の生活環境を理解したうえでのきめ細かな歯科医療体制の整備が必要であると考えられる。

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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