小児歯科学雑誌
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永久歯の埋伏とディスクレパンシーを随伴した骨格性反対咬合の咬合管理
井出 正道加賀谷 桂大森 郁朗
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1998 年 36 巻 5 号 p. 917-931

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抄録
骨格性反対咬合は日本人小児において最もよく認められる咬合異常の一つである。また,上顎中切歯の埋伏も比較的多く認められるが,これらの異常に加えて,永久歯胚の先天欠如や上下顎のディスクレパンシーが認められた小児の咬合管理を8歳0か月から永久歯列が完成するまで行ったので,その咬合管理の経過について報告した。
骨格性反対咬合に対しては,整形力を用いたchin capを装着した。chin capの使用期間は8歳2か月から15歳2か月までであった。初診時には,上顎両側第一大臼歯は未萌出であり,上顎右側中切歯は埋伏していた。未萌出の大臼歯は,その発育状態と歯冠形態から第二大臼歯と判断し,上顎両側第一大臼歯は先天欠如と判定した。上顎両側第二大臼歯は9歳後半に第一大臼歯の位置に萌出した。上下顎に認められたディスクレパンシーに対しては,上顎は右側中切歯の摘出により対応し,下顎は左側中切歯を抜歯することにより対応した。最終的な咬合治療にはmulti-brackets装置をchin capと併用した。中切歯の位置に排列した上顎右側側切歯には,中切歯の形態を付与したジャケット冠を装着し,審美的および機能的に満足できる永久歯咬合が得られた。
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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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