日本体育学会大会予稿集
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第70回(2019)
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02 体育社会学
02社-12-口-36 スポーツが刷り込む「認識的ナショナリズム」
サッカー専門誌に見られる「日本人らしさ」言説に着目して
*笹生 心太
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p. 117_3

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抄録

 本発表では、人々が自らを特定のネイションの一員であると無意識に認識するというレベルのナショナリズム、すなわち「認識的ナショナリズム」(津田,2016)について論究する。スポーツという文化領域は、人々の「認識的ナショナリズム」の形成に役立つと考えられている(Billig,1995など)。なぜならスポーツの場面では、例えば「日本人はサッカー(スポーツ)を、どちらかといえばゲームとして捉えるが、韓国人はたたかいとして捉える」(サッカーマガジン877号,p.109)のように、特定のネイションを全体的(holistic)な「実体」としてみなすような言説が多く生産されるからである。

 以上のような問題関心のもと、本発表ではスポーツ報道に見られる日本人というネイションを「実体」としてみなす言説に着目し、日本人がどのように自己理解してきたのかを明らかにする。具体的には、サッカー日本代表チームのプレースタイルに関する諸言説を蒐集し、これまで支配的と考えられてきた「日本代表チームは組織力に優れる」という言説がどの程度存在し、それに対する対抗言説がどの程度存在するのかといった言説空間全体の布置を明らかにする。

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