日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第70回(2019)
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シンポジウム
スポーツの武士道/武道的変容説の再検討
拙書『にっぽん野球の系譜学』を中心に
坂上 康博
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p. 35_2

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抄録

 1) 精神修養や武士道精神といった用語がちりばめられた野球部員やOBたちの主張を、野球が武士道や武道精神によって変容したことの証明材料として扱うという従来の発想は、事実の非歴史的で一面的な理解に導くものであり、それが野球に対する抑圧からの解放や自治的な発展をめざしたものであったというポジティブな側面等を見えなくしてしまっている。2) 精神修養や礼儀の尊重といった事項に限定してとらえるならば、野球が武道化したという見方も確かに可能であるが、国家主義や帝国主義といったイデオロギーレベルを含めるならば、野球と武道は全く別物である。3) 日本の野球をはじめとするスポーツにおいて、非合理的な練習や集団内での上下関係(それによる体罰や暴力)などが肯定されてきたのは、勝利、人間形成、集団の秩序という3つの強力な正当化の論理が存在するからであり、それは戦後、高度経済成長期をへて浸透していったものではないか。拙書『にっぽん野球の系譜学』で提起した以上のような論点を紹介しながら、従来の通説的な見方がもつ問題点とそれを乗り越えていく方向性や課題などについて、武道の歴史的な変化も視野に入れながら論じてみたい。

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© 2019 一般社団法人 日本体育学会
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