日本体育学会大会予稿集
Online ISSN : 2424-1946
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第70回(2019)
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シンポジウム(日本運動疫学会合同企画)
何を測るかはどのような統計解析を利用したいかで決まる
山次 俊介
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p. 53

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抄録

 測定でなんらかのデータを取得しないと研究は始まらない。しかし、なんとなく、測定できそうなことを「取りあえず測る」手続きでは「分析できないデータ」となって失敗してしまう可能性がある。測定は、一定のルールに従い数値や記号といった客観的な尺度をあてがって、現象の一側面を数理の世界に移行させる作業である。数理の世界で客観的な判断をして、現象の世界に戻して解釈する。この移行において、数理の世界から現象の世界へつなぐ手法が統計解析である。したがって、測定が数理の世界への入口だとすれば、統計解析は数理の世界の出口といえ、測定と統計解析はセットで考えなければならない。研究計画の時点で、測定したデータで、どの出口に向かえば、つまりどの統計解析を利用すれば、研究アイディア(研究仮説)を検証できるのかを把握しておくことが肝要である。統計解析は有用な道具であるが、万能ではない。「差の分析」と「関係性の分析」が統計解析の基本である。多変量解析などでは、基本を発展させグルーピング、要約、判別もできるが、何でもできるわけではない。本シンポジウムでは、実例を交えながら妥当に仮説検証するための考え方について議論したい。

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