日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第71回(2021)
セッションID: 2O1204-08-03
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学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表
鉄棒運動逆上がり動作の観察的評価基準の作成及び動作要因の検討
運動部所属の大学生を対象として
*佐野 孝國土 将平
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抄録

【背景】逆上がりについて、技の成否や習得に関わる動きのコツや幇助用具を用いた練習方法の検討がなされてきた。しかし、技を構成する個々の動作や技の熟達度を詳細に評価できる観点は明らかでない。【目的】動作因果関係を考慮した逆上がり動作の特性要因図及び観察的評価基準を作成し、技を構成する動作要因を明らかにすることを目的とする。【方法】運動部所属の大学生32名(男子11名、女子21名)を対象に、逆上がり動作を前方・側方から撮影した。技に関する先行文献及び大学生の映像から動作観点を抽出し、特性要因図を作成した。各観点に評価段階を設定した技の観察的評価基準(30項目)を構成し、大学生の動作を評価した。逆上がりを構成する動作要因を明らかにするため、カテゴリカル因子分析(重み付き最小二乗法、プロマックス回転)により評価項目の因子構造を検討した。技の成否と因子得点のポリシリアル相関係数を求め、動作要因と技の成否との関連を調べた。【結果】技に成功した人数は25名であった。カテゴリカル因子分析の結果、支持期より前の動作要因として、「軸作り・踏み込み動作」、「振り上げ動作」、「踏み切り・上体引き上げ動作」の3因子が抽出された。因子間相関は、「軸作り・踏み込み動作」と「振り上げ動作」が0.43、「軸作り・踏み込み動作」と「踏み切り・上体引き上げ動作」が0.62、「振り上げ動作」と「踏み切り・上体引き上げ動作」が0.47であった。その内、「軸作り・踏み込み動作」(r=0.62)と「踏み切り・上体引き上げ動作」(r=0.86)に技の成否との有意な相関が認められた(p<0.05)。また、技が成功した場合の支持期以降の動作要因として、「後方回転・回転ブレーキ動作」が抽出された。【結論】逆上がり動作について、動作因果関係を考慮した特性要因図及び観察的評価基準が作成された。逆上がりは4つの動作要因から構成される。

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© 2021 一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
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