日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第71回(2021)
セッションID: 1P101-43-21
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体育心理学
スポーツ指導者のサーバントリーダーシップ尺度作成の試み
*高松 祥平
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抄録

サーバントリーダーとは、他者の成長やウェルビーイングに尽力し、他者に奉仕することを主な目的とする人物であり(Wong, 2000)、スポーツの文脈では「アスリートファースト」の指導者といえる。スポーツ領域では、経営学領域で作成された尺度を用いた研究はみられるものの、限定的であり、スポーツ指導者特有のサーバントリーダーシップは明らかにされていない。そこで、本研究ではコーチングサーバントリーダーシップ尺度を開発することを目的とした。Hinkin (1995) のガイドラインを参考に、4つのフェーズに分けて研究を実施した。フェーズ1では、サーバントリーダーシップに関連する項目の収集を行った。初めに、844項目が収集され、重複する項目やサーバントリーダーシップと関連しないと判断した項目を除外し、98項目が残された。フェーズ2では、専門家10名に調査を依頼し、内容的妥当性比を用いて項目の内容的妥当性を検証した。フェーズ3では、因子分析と構成概念妥当性の検証を通して、尺度の作成を行った。フェーズ4では、米国の大学生アスリートを対象に、尺度のリプリケーションを実施した。その結果、6因子17項目で構成されるコーチングサーバントリーダーシップ尺度が作成された。各因子は、受容(e.g., 私の監督は選手の悩みを親身になって聞いている)、共有ヴィジョン(e.g., 私の監督は選手と同じ目標を目指している)、エンパワーメント(e.g., 私の監督は選手の能力を最大限引き出している)、献身(e.g., 私の監督は自分のことよりも選手のニーズや利益を優先している)、謙虚(e.g., 私の監督は自らの批判や失敗から学んでいる)、反勝利至上主義(e.g., 私の監督は勝利よりもスポーツマンシップを大切にしている)と命名された。今後の展望として、本尺度を用いて選手への影響を詳細に検証していくことが望まれる。

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