日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第71回(2021)
セッションID: 3O1201-04-04
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体育科教育学
ラグビーの教育的価値に関する研究
「ラグビー科学研究」に関する検討
*村田 優作下園 博信柿山 哲治
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抄録

ラグビーというスポーツはきわめて高い教育的価値があると言われている。その根拠として、ラグビーの教育的価値を語る言葉が多く残されている。ラグビーの精神性の表現として使用される「one for all, all for one」や、2019年ラグビーワールドカップ日本大会で、ラグビー日本代表がチームスローガンとして掲げた「One team」などが具体例としてあげられる。その他にも、嶋崎(2015)は、「自らの判断の基準を確立し、それが無意識のうちに行動に移されるようになる。これこそが理想であり、ラグビーを通した人間形成の目指すところではないだろうか」と述べている。また、国際的なラグビーの統括組織であるWorld rugby が提示しているラグビー憲章には、「ラグビーには勇気、忠誠心、スポーツマンシップ、規律、そしてチームワークといった多くの社会的・情緒的概念が包括されている」とあり、多くの価値が内包されていることが述べられている。

さらに、他の球技より比較的自由度が高いラグビーは、ラグビーをプレイする上で、多くの選択肢の中から、瞬時で的確な判断が求められる。これは、学習指導要領にある「合理的な解決に向けて運動の取り組み方を工夫する」ということと合致し、ラグビーは教育的な価値を持っていると考えられる。

本研究においては、ラグビーの教育的価値がどのように議論されてきたのかを鑑み、スポーツ教育や体育領域において、ラグビーが発展していく方略について検討する。そのために、1989年から現在まで全32巻が発行されているラグビーの研究雑誌「ラグビー科学研究」を調査対象とする。その中に掲載されている214件の研究から38件を対象として、「問題解決」「多様性」など、新しいラグビーの教育的価値を探る基礎的な研究をすすめていく。

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© 2021 一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
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