日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第71回(2021)
セッションID: 3O1303-05-02
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スポーツ人類学
伝統スポーツに潜在する極限性
Red Bull TVの事例から
*豊島 誠也
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抄録

これまで、伝統スポーツの変遷としては、国際スポーツ、観光資源、もしくは消滅という方向が示されてきた。しかし、近年は若者を中心に、伝統スポーツに内在する危険な側面を含む極限性を「エクストリームスポーツ」として捉えるという現象が見られる。

 そういった伝統スポーツの極限性に注目する動きは、エナジードリンクを販売し、エクストリームスポーツのスポンサー活動を積極的に行う、レッドブルのオンラインサイト「Red Bull TV」においても見ることができる。その中のArchaic Festivalsというトピックには、世界各国の過激な要素を含む伝統スポーツの様子が詳細に取り上げられている。

 レッドブルがエクストリームスポーツという視点を保持し、それを前提にしてさまざまなスポーツを商業化しているというのがフィールドの<事実>としてある。しかし、それではこぼれ落ちる現象がある。それは例えば、若者がエクストリームスポーツという視点で伝統スポーツに触れる機会が生まれ、文化の継承に繋がるなどである。そうした側面を掬い上げるために、研究者の視点から伝統スポーツとエクストリームスポーツに共通する“極限性”へアプローチすることが、若者が極限性を有した伝統スポーツに注目するその現象を説明できると考えた。

 本研究では、Red Bull TVの映像を参考資料に、若者を魅了する伝統スポーツとエクストリームスポーツに共通する極限性を捉え、その要素を宗教、身体経験、規定からの逸脱の3つの要素に細分化し検討する。また、そこから極限性を求める若者の経験が伝統スポーツを継承する一翼を担うとして考察することを目的とする。

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© 2021 一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
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