日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第71回(2021)
セッションID: 2O805-09-04
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スポーツ文化研究部会【課題C】口頭発表
武術文化の流通と融合
中国の体育雑誌に表象される日本武道とその中国武術への影響
*劉 暢
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抄録

日本武道の国際化については、これまで主に西洋諸国を対象とした柔道、剣道、空手などの伝播状況に関する研究が多く見られる。これに対して、地理的、そして文化的に近縁性のある中国において日本武道はどのように認識され、普及してきたのか。またその過程で中国武術などを含む中国の身体文化にどのような影響をあたえたのか。これらの問題を解明することは、日本武道の国際化をより相対的に捉えることができるだけではなく、グローバル化する今日の社会において、多様な身体文化の流通・融合を理解することにもつながると考える。

海外における日本武道の伝播について協会の設立、人員の交流、活動の実態などの内容があげられ、それらに関する史・資料も多岐にわたる。そこで、本研究が体育雑誌に着目した理由は、雑誌には編集者ないし出版社の認識や主張が強く表れる傾向があるからである。そうしたメッセージがコミットメント度の高い読者に受信されやすく、ときには読者のフィードバックもみられる。このような考えから、本研究では初歩的な作業として(1)日本武道はどのように中国の体育雑誌で表象されてきたのか、また(2)それは中国武術の発展にどのような影響を与えたのか、という二つの問いの解明を試みた。なお、研究機関は中華人民共和国が成立した1949年から2019年までとした。

また、具体的に用いる体育雑誌は以下の通りである。『新体育』(総合誌、国家体育総局中国体育報業総社、1950年創刊、現在月刊として発行)、武術雑誌『中華武術』(中国武術協会、人民体育出版社、1982年創刊、現在月刊として発行)、『武林』(広東武術協会、1981年創刊、2006年廃刊)、『武魂』(北京武術院、北京体育局、1983年創刊、2013年廃刊)、『柔道与摔跤』(山西省体育運動委員会、1983年創刊、1992年廃刊)。

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