日本体育・スポーツ・健康学会予稿集
Online ISSN : 2436-7257
第73回(2023)
セッションID: 1a1201-03-02
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健康福祉研究部会【課題A】口頭発表
異なる季節に行うセルフペースの有酸素運動が卵胞期および黄体期の気分状態や月経関連症状に及ぼす影響(保,生)
*中村 有紀
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抄録

【背景】月経関連症状のセルフケア法の一つとしてストレッチングや有酸素運動が推奨されている。一方、季節の違いによる気象条件が、セルフペースで行う運動(量)と気分状態や月経関連症状にどのように影響するかは明らかではない。そこで本研究では、異なる季節(夏季/冬季)において、卵胞期(F期)および黄体期(L期)にセルフペースの有酸素運動を行い、気分や月経関連症状に及ぼす影響を検討した。

【方法】正常月経周期の女子大学生、夏季8名、冬季7名が月経周期のF期およびL期に各1日ずつ実験に参加した。運動は自覚的運動強度(RPE)12~14(ややきつい)程度で行う30分間のセルフペースランニングとし、運動前、運動後、24時間後に気分プロフィール検査「POMS2短縮版」および「月経関連症状に関する調査フォームT」に回答した。

【結果】各季の気象条件(気温、相対湿度)は、夏季31.4±2.6℃、57.4±9.7%、冬季13.8±2.3℃、31.0±9.3%であった。走行距離は夏季のL期にのみ有意に短縮した(F期:3718±614m、L期:3607±549m)。運動中のRPE、心拍数に月経周期の時期による違いは認められなかった。POMS2は、夏季のF期にTMD得点(ネガティブな気分状態)が、冬季のL期にCB(混乱-当惑)およびTA(緊張-不安)尺度の得点が運動により低下した。月経関連症状は、夏季のF期に「水分貯留」、「ネガティブな項目の合計点」が運動により低下した。また、冬季のL期に「集中力」、「行動変化」の点数が低下した。

【まとめ】セルフペースの有酸素運動は、冬季においては月経周期の時期に関わらず運動量が維持されたが、夏季においてはL期の運動量が低下した。また、運動後の気分や症状の改善も認められず、夏季の暑熱環境下では、運動により期待される効果は黄体期には得られにくい可能性が示唆された。

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© 2023 一般社団法人日本体育・スポーツ・健康学会
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