抄録
【目的】胃切除術後に自己選択食とした場合の食種選択状況と選択食摂取の安全性、摂食熱量、栄養学的諸因子について検討した。【対象及び方法】胃切除術後75例(うち胃全摘術10例)を対象に術後2日目から退院日までの食種を流動食・5分粥・全粥・軟飯・常食の中から選択させ、摂取熱量と栄養学的因子として体重変動・血液検査成績を直近の従来型規定段階食管理の25例と比較した。【結果】75例中69例がプログラムを完遂した。術後2日目に3/4以上の症例が5分粥以上を希望した。従来型と比較して術後1-5日目の摂取熱量が有意に多く、術後1カ月の体重減少率が有意に少なかった。血液検査成績や6カ月目の体重には差を認めなかった。【結論】適切に選択された症例を対象にすれば、自己選択食は安全に施行可能である。術後1週間の摂食熱量が増えることで、除脂肪体重を喪失しやすいとされる早期の体重減少を抑制できる可能性が示唆された。