抄録
要支援・要介護高齢者や摂食嚥下障害者にとって「食べる力」を維持することは、在宅での生活を継続するための重要な要件となる。しかし、地域・在宅においては栄養管理や摂食嚥下障害に対応できる専門職が少なく、潜在的な課題に気づかずに、対応が遅れやすい。また、多職種・多事業所がサービスを分担して提供するため情報の共有化も難しい。在宅療養を支援する看護師は、食事や排泄などの生活行動の変化の中から療養者のリスクや可能性に気づき、介護者や介護職と共有し具体的な介入につなげること、必要に応じて医療につなげることが求められる。また、医療から生活の場へ「食べる力」をつなげるためには、治療や訓練を生活の視点で先を見据え、「暮らしの中で実現可能なこと」へと応用することも必要である。