日本静脈経腸栄養学会雑誌
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特集
栄養療法における胃瘻の位置づけ
吉田 篤史上野 文昭森實 敏夫
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2016 年 31 巻 6 号 p. 1215-1220

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抄録

胃瘻の歴史は長く、海外では外科的に造設された胃瘻が有用な栄養経路として普及していた。20世紀後半の PEGの開発により、胃瘻造設が内視鏡的に行われるようになった。1980年代の日本では、経静脈栄養あるいは経鼻胃管による経腸栄養が長期に行われる風土であったが、PEGの導入と医療制度の変革により、胃瘻が最も優れた長期栄養経路として認識されるようになった。現代の医療に定着した胃瘻を介した栄養療法ではあるが、著しい普及と共に濫用との批判を受けるようになった。確かに適応症例の選択の稚拙さもあることはあるが、多くの場合人工的水分栄養補給の可否を、胃瘻造設の可否にすり替えた議論の結果である。健全な臨床判断により、人工的水分栄養補給の必要性が認められれば、長期的には胃瘻を介した投与が適切であるのは当然と言えよう。

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© 2016 日本静脈経腸栄養学会
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