日本静脈経腸栄養学会雑誌
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臨床経験
多施設共同研究による粘度可変型流動食マーメッド®の有用性に関する検討
西村 さゆみ高田 俊之中村 文泰合田 文則明石 哲郎水野 英彰三原 千惠佐藤 斉栗原 美香佐々木 雅也
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2016 年 31 巻 6 号 p. 1270-1273

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抄録

近年、胃食道逆流・下痢の予防として経腸栄養剤の半固形化の有用性が報告されているが、細径の経鼻チューブでは、経腸栄養剤の粘度が高くなるほど注入が困難となる。我々は胃内で液体から半固形状に変化する粘度可変型流動食マーメッド®の有用性について多施設共同で研究したので報告する。液状の経腸栄養剤で消化器合併症をきたした症例に対し、ほぼ同エネルギーのマーメッド®に切り替え、胃食道逆流・下痢の評価を行った。喀痰吸引回数は有意に減少し、1日の吸引回数は半減した。下痢の回数に変化は見られなかったが、ブリストルスケールは有意に改善した。マーメッド®の胃内で半固形化する特性により、胃食道逆流のリスクは軽減し、アルギン酸の保水性や腸内細菌叢への作用により便性状を改善させたと推測できる。今回の結果からは、経鼻胃管栄養管理下にある患者の消化器合併症を抑制する選択肢として、粘度可逆型流動食マーメッド®は有用であると考えられた。

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© 2016 日本静脈経腸栄養学会
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