2017 年 32 巻 2 号 p. 951-954
【目的】我々は胃がんによる胃切除術の術後クリニカルパスに六君子湯を導入し、その効果について検討を行ったので報告する。【対象と方法】当科にて2014年1月より2015年12月までに、胃がんの診断で腹腔鏡下幽門側胃切除術を施行した連続した68例をパス導入前後に症例を分けて検討を行った。【結果】パス導入後32例を六君子湯群、導入前の29例を対照群とした。六君子湯群では、全症例で初回外来までの期間、六君子湯の継続内服が可能であり、服薬による有害事象は認められなかった。退院前日の上部消化管術後食の食事摂取熱量(中央値)は六君子湯群で1045 kcalに対し、対照群で825 kcalであった(p=0.012)。術後栄養状態をCONUT値で比較すると、術後1か月後では中央値で1 vs 2であった(p=0.01)。退院時体重減少率、術後1か月の体重減少率では有意差を認めなかった。【結語】六君子湯導入は幽門側胃切除術後退院時の食事摂取量を増加させ、術後1か月後の栄養状態を改善させる可能性を示唆した。