日本静脈経腸栄養学会雑誌
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ペクチン・カルシウム含有ゲル化剤により半固形状とした経腸栄養剤による胃瘻造設術術後の肺炎と下痢の抑制
村松 博士田中 育太庵原 秀之三上 淳一中谷 玲二日下部 俊朗渡辺 秀樹北川 一彦土田 茂久居 弘幸倉 敏郎坂田 隆
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キーワード: PEG, 肺炎, 下痢
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2018 年 33 巻 1 号 p. 611-616

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抄録

液体栄養剤の半固形への形状変化が臨床経過に与える効果を検証する目的で無作為多施設共同比較臨床試験を行った。半固形化栄養群(以下、介入群と略)には半固形状の水分とペクチンとカルシウムを添加し半固形状とした経腸栄養剤を、液体栄養群(以下、対照群と略)には液体の水と経腸栄養剤を経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)施行翌日から胃瘻より投与開始、漸増した。介入群75例と対照群76例について術後2週間の臨床経過を比較した結果、誤嚥性肺炎の発症は介入群(1/75)で対照群(11/76)よりも有意に抑制された(p=0.0028)。また、PEG前は両群に差がなかったブリストル便形状スケールは2週間後で介入群が対照群よりも低くなり(4.9 ± 1.1 対. 5.6 ± 1.1)(p=0.00045)、便性状が改善した。PEG周術期において液体栄養剤を半固形状に変化させることによって誤嚥性肺炎と下痢を抑制した。

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© 2018 日本静脈経腸栄養学会
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