日本静脈経腸栄養学会雑誌
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臨床経験
認知症患者の摂食不良に対するドネペジル塩酸塩減量の有効性についての検討
本田 圭小島 直子横川 紗枝子松崎 律子松本 奈緒子見砂 知子山崎 貴子前 幸穂森山 智沙子大野 健次
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2018 年 33 巻 1 号 p. 654-658

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抄録

【目的】認知症治療薬であるドネペジル塩酸塩(以下、ドネペジルと略)は、認知症患者の増加に伴い服用者が増加している。今回、栄養サポートチーム(以下、NSTと略)介入において、食事摂取量に少なからず影響を与えていると考えドネペジルの中止・減量を提案した症例について振り返ると共に実態を調査し検討した。【対象及び方法】2013年4月1日~2015年3月31日の2年間にNST介入した859例のうちドネペジル投与のあった44例について後ろ向きに調査した。【結果】44例中、経口摂取は38例、その中でドネペジルの中止・減量を提案したのは14例であった。14例のうち9例で中止・減量がなされ、5例で食事摂取量が増加した。【結論】摂取量低下の原因がドネペジルの中枢抑制による眠気や脱力と示唆される症例が数例みられた。ドネペジル投与初期の消化器系副作用の報告は多いが、投与維持期の副作用については見過ごされがちである。認知症患者の摂食不良はドネペジルが関与している場合があり、NSTにおいて副作用の評価が重要である。

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