2019 年 34 巻 2 号 p. 81-86
社会の高齢化に伴い、今後胃がんは高齢者の占める割合が高くなることが予測される。高齢者は低栄養でサルコペニアやフレイルの患者が多い。高齢であることは術後合併症の危険因子であり、低栄養な高齢者はさらに合併症率が高くなり、予後も不良になる。stage1胃がんでも患者の栄養が悪ければ予後は不良である。したがって、術前に栄養状態を改善しておくことは治療成績の向上に役立つ可能性がある。高齢胃がん患者の治療は根治性を求めるだけでなく、全身状態を考慮して手術リスクを評価し、治療方針を決定することが特に重要である。今回は、高齢胃がん患者に対する手術成績と周術期栄養療法の現状と問題点、当院で行っているサルコペニア予防ついて解説する。