2019 年 34 巻 4 号 p. 231-236
急性期医療を要する重症患者では、侵襲による過剰な炎症で代謝異化状態が亢進するため、まずは救命を目的に炎症を制御して呼吸循環動態を安定させる。その後は、急性期、回復期から退院後のquality of life(以下、QOLと略)向上を見据えた救急集中治療を継続的に行わなければならない。これに対して、栄養療法は救急集中治療の連鎖の一貫であり、急性期だけでなくQOLを改善させるための治療として認識する必要がある。さらに、ガイドラインやエビデンスの高い研究を活用して、各施設の実情にあったマニュアルやプロトコールを作成し、栄養サポートチーム(nutrition support team;以下、NSTと略)が遵守しながら適切な栄養療法を現場に提供することが重要である。