抄録
東京オリンピツク候補重量挙選手の三種目実施中の筋電図誘導記録, 並び16mmフイルムによる側面撮影を行つた結果, 大要次の如き所見を得た。
1) ハイクリーンでは上腕2頭筋及び3角筋を主とし, 僧帽筋がこれに協力, プレスの際は3角筋と僧帽筋が主働的な役割を果し, 3頭筋は中期以降に効果が強く, 上腕2頭筋及び腹直筋の収縮力も利用しているのが一般的な型である。
2) スナツチでは3角筋, 僧帽筋上部が主働的に働き, 初期に上腕2頭筋, 僧帽筋下部が協力している。
3) スクワツトクリーンでは, 上腕2頭筋, 3角筋が主で, 僧帽筋が協力し, ジヤークでは3角筋, 僧帽筋上部が主働筋となり, 初期に大腿直筋, 腓側広筋, 上腕2頭筋, 僧帽筋下部の協力を得, 中期以降上腕3頭筋が働いてくるのが平均値的である。
4) 挙上点数の高いものは, 低いものよりも筋群の動員の仕方が少く, 運動系のトレーニング効果は拡延的でなく, 集中的である。
5) クリーンの初期のバーベル引上げ速度と, 中期の引上げ速度は正相関的関係にあるが, スナツチの場合はむしろ逆相関的である。
6) ジヤークの場合は, 初速が最も支配的な影響をもつている。
7) スナツチのジヤンプバックを防止するためには, バーベル引き上げ時の上肢の誘導力を強化し, その矢状面投影軌跡がS字状になるようにさせるべきである。